【インタビュー記事】外国人スタッフサ責―知らない土地で感じた不安が、ご入居者に寄り添う力となった

アルファリビング広島吉島通りの介護スタッフ兼サービス提供責任者(以下サ責)のカイさんは、ベトナム出身の27歳。2022年4月にあなぶきメディカルケアへ入社し、今年で5年目を迎えました。2018年の来日時は、日本語もほとんど話せなかった18歳の留学生が、施設で初めての外国人スタッフとして働き、2025年3月からサ責にも挑戦しました。そんなカイさんに、これまでの歩みと仕事への思いをお伺いしました。

Wi-FiもGoogle Mapsもない。不安だらけの来日生活

来日直後は苦労の連続だったといいます。日本語がほとんど話せず、道も分からない。携帯電話にはSIMが入っておらずWi-Fiもないため、何かを調べることすらできませんでした。「スーパーで、思っていたのと全然違うものを買ってしまったこともあります」と笑いながら振り返ります。学校の寮にもWi-Fiがなく、20歳未満だったためSIMの契約もできず、通信手段がない状態が半年続きました。

「来日して最初の1週間は、とにかく帰りたかったです」というカイさん。友達と一緒に登校する日本の高校生の姿を見て、少し前まで自分もそちら側にいたことを思い出し、懐かしさと羨ましさがこみ上げたといいます。「今思い出しても、あの時期をどうやって乗り越えたのか、自分でもよく分からないです」

「看護」のつもりが「介護」だった

来日のきっかけは、「日本で『看護』の勉強をしてみたら?」と家族に紹介されたことでした。「特別外国に興味があったわけでもなく、語学が得意というわけでもなく、家族がすすめるので、行ってみようかな♪という軽い気持ちでした」。しかし通うことになった専門学校は、なんと「看護」ではなく「介護」でした。当時ベトナムには「介護」という分野がなかったので、介護は看護と同じという認識だったそうです。

「正直、最初は驚きました。でも、祖父が寝たきりで家族が介護していた経験もあったし、実は血や傷を見るのが苦手で……。今では看護ではなく介護でよかったと思っています」

日本語学校に2年間通ったのち、専門学校で「介護」を学び、2022年に介護福祉士資格を取得。入社後には日本語能力試験N1にも合格しました。「日本語の勉強をすればするほど、まだまだだなと感じます」と謙虚に話しますが、今ではご入居者から「本当に外国人なの?」と言われるくらい上達しています。

施設初の外国人スタッフ。不安だった入社当初

配属先のアルファリビング広島観音本町にとって、カイさんは初めての外国人スタッフでした。「外国人の先輩がいなかったので、正直不安でした」。特に苦労したのが、電話対応や事務所でのご家族とのやり取り。取引先や業者からの電話は会社名や担当者名など固有名詞が多く、なじみがないので、聞き取ることもできなかったそうです。また、55名のご入居者一人ひとりに家族がいる中で、「来客された方が誰なのか判別できなくて、いつもびくびくしていました」と振り返ります。慣れるまでに半年かかったといいますが、周囲のスタッフが根気強くサポートしてくれたことで乗り越えられたそうです。

信頼関係以前の問題、日本語が通じない…

ご入居者とのコミュニケーションでも壁がありました。「私は外国人なので、発音やイントネーションが微妙に違うんです。聞き取ってもらえずイライラされてしまうこともありました」。もともと早口だったこともあり、焦るとさらに言葉が速くなってしまうことに気づいたカイさん、「ゆっくり、はっきりした声で話しかける」ことを意識するようになりました。

最初は会話が成立せず、筆談もしてもらえないこともあったといいますが、辛抱強く関わり続けるうちに、少しずつ心を開いて話してくれるご入居者が増えていきました。「最終的に、私の日本語を褒めてくれて。本当にうれしかったです」

入社4年目「できるかな…」不安を抱きながらサ責へ挑戦

2025年3月、カイさんはサービス提供責任者(サ責)に挑戦します。「サ責の先輩方が素晴らしい仕事をしているのを見て、自分にできるわけがないと思っていました」。それでも「最初から完璧な人はいない、少しずつできるようになる」という先輩の言葉に後押しされ、一歩を踏み出しました。

サ責になってからは、指示されたことをこなすだけだった一スタッフの立場から一変。「なぜこのサービスが必要なのか」「他にもっとご入居者に適切なサービスはないか」を自分で考えるようになり、視野が大きく広がったそうです。

「あなたがいてよかった」その言葉が支えになる

ご入居者から「あなたがいてよかった」「助けてくれてありがとう」と声をかけていただける瞬間が、一番のやりがいだと話します。

「『私はなぜここにいるの?』『ここにいてもいいの?』と不安そうにされるご入居者に、『大丈夫、私がそばにいますよ』と声をかけると、手を握って『よかった』と言ってくださるんです。

私自身も家族と離れ、知らない土地で暮らし始めた経験があります。だからこそ、不安な気持ちがよく分かるんです。あの時、誰かがそばにいてくれるだけで本当に安心できました。だから私も、ご入居者のそばで一緒に過ごしたり、お話を聞いたりしながら、少しでも安心していただける存在でありたいと思っています。

「日本で働く外国人の力になりたい」カイさんからのメッセージ

最後に、これから日本で働きたいと考えている外国人へのメッセージを聞きました。
「やればできるんです。とりあえずやってみること。頑張ってやってダメだったら、それは頑張った結果だからOK。何もやらずに『できない』と言うのは違うと思います。後悔しないように、今やってみてほしいです」 不安を抱えながらも一歩ずつ挑戦を重ねてきたカイさんの言葉には、実感がこもっています。施設でたった一人の外国人という環境から始まり、今では施設に欠かせない存在として、そしてこれから入社してくる外国人スタッフを支える立場として、カイさんの挑戦はこれからも続いていきます。

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投稿者:shinmyo(広報)

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